篠笛を独学で始めた頃、私は音程との格闘に明け暮れていました。同じ調子、同じ運指なのに、CDを聴くとまるで別物のようなメロディになってしまう…。「メリカリ」というテクニックは本で読んでいたはずですが、全然通用しませんでした。
篠笛はシンプルな構造だからこそ、上手に調律していても、気軽に音程をずらしてしまうことができます。人によっても音程は異なり、半音近く高い音が出る人もいます。そのため、常に全体的に音程がずれているという方もいらっしゃるほどです。
「篠笛の音程なんてそんなに大切じゃない」という意見もあります。しかし、私は彼らは単に前提が違うだけだと考えます。もともとピアノを習っていたり、音楽経験者であれば、ある程度の正確な音程は自然と出せるはずです。大幅なズレだったら、そういった人でも気になるでしょう。何事も程度問題です。
音には「フランジング」という現象があり、高音域では少しズレた音が2つ以上重なると不快な違和感が生まれます。そのため、2人以上で演奏する際は、音合わせは必須です。フランジングがランダムに発生するような演奏は、美しいハーモニーを生み出しません。
もし、篠笛の音程を矯正したいなら、チューナーを使うのがおすすめです。2千円程度で購入できるものもありますし、スマホアプリもたくさんあります。Googleで「チューナー」と検索すればすぐに手に入ります(スマホの場合は別途マイクを用意する必要はありません)。
実際にやってみると、音程のズレには傾向があることがわかるはずです。何も意識しないと、呂の音の五・六・七は高めに出がちですし、甲の5・6・7は低めに聞こえます。そこで、呂は少しメリ(歌口を少し内側に向ける)で吹いて、甲はカリ(歌口を少し外側に向ける)で吹くように意識してみましょう。
これまで全く音程を意識したことがなかった人でも、この工夫だけでも改善されるはずです。音程は笛の作り方によっても変わってくる部分もありますが、ここで挙げた傾向は共通していることが多いでしょう。音程の重要性を理解し、少しずつ音合わせに取り組んでいくことで、あなたの篠笛演奏はきっとレベルアップするはずです!
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