立平さんってどんな笛屋さんなの?

当ブログでも推している環を開発した立平さんってどんな方なんでしょう。

ドレミの篠笛と言えば蘭情さんが有名なのですが、数年前に蘭情さんの笛がもう手に入らないかもしれないということになってしまい、そこで注目されたのが立平さんの篠笛、という話を聞いたことがあります。

篠笛は和楽器なのだから西洋音階は出せなくて当然だという考えもあるのですが、それでも正確なドレミ笛は需要が高く、私もドレミ笛はできるだけ正確な音程であって欲しいと思ってます。

立平さんは新素材篠笛「環」を開発して学生たちに無料で配ったりしています。これには技術の安売りだと批判の声もあるみたいですが、公式ツイッターいわく


僕は自分のブランドを育てるコトに一切、興味がないです。 プライドもないし、安い笛を作る業者で全然オーケーです。 僕の想いはただひとつ、できるだけ多くの人たち(特に若者)に笛を届ける。 ただそれだけなんです。

とのことです。

そもそも笛職人でウェブで情報発信をしていないことは普通なので、ツイッターをやってる時点で珍しいことですね。

ツイッターを見ていると、複数の職人さんで作業を分担しているようなことがうかがえます。

私が出会った笛吹きの方にも立平さんの愛用者はいます。そのとき1度だけ笛を借りたことがあります。それは3万円くらいといっていました。最低音から大甲まで一切力むことなく気持ちよく鳴らせました。その笛を吹くのはまったく始めてだったのに。

立平さんの環とFURYU8どっちを買うべき?

FURYU8はおそらく大手の竹製の笛ではもっとも安価なもの。環は立平さんの新素材篠笛です。

どちらも同じくらいの価格設定の笛で、どちらを買おうか迷う方もいるかもしれません。

私はどちらかというと僅差で環をおすすめします。

まずFURYUが竹であることのメリットがあるかというと微妙です。見た目とさわり心地がもっと上の竹の笛より劣りますし、音色に反映されているかというとそうでもない気がします。

逆に天然素材なせいで個体差があったり、湿度管理などの扱いづらさがあったりします。割れたりもします。

吹きやすさ、演奏しやすさ、安定感では樹脂製で立平ブランドの環の方が上です。環に慣れておいて損はないです。

環の方がいま流行っているので、話のネタにもなります。いろいろな笛吹きさんと話していると立平さんの認知度が高いことがわかります。

ただ環には袋はついてこないので、その分のコストは上がります。

どうしても竹製がよかったら1万円以上はする日本の職人が作った笛をすすめしたいです

立平さんの環は購入不可避だった

クラウドファンディングでの販売に乗り遅れ、その後の無料配布などに当たることもなく、買わなくてもいいかなと思ったこともありましたが、プラスチック篠笛の記事を書いたりしているのだから比較対象として持っておいたほうがいいと思って結局購入しました。

環とは立平さんの開発した新素材篠笛です。

>既存の篠笛の製作過程で大量に廃棄されている竹クズと、グラスファイバーを混合した新素材の篠笛です。https://readyfor.jp/projects/shinobuerippeishinsozai

買ってよかったです。立平環。

すでにネット上にはすごい人たちのレビューがあるのですが、私なりに感じたことを記したいと思います。

結論から言うと、環すごく良いです。ただ立平さんがプラスチック篠笛の型を作ったのはものすごい素晴らしくユーザにとってありがたいことだと思いますが、竹くずを混ぜた新素材がとてもいい効果を出しているかはなんともいえなくて、まだ議論の余地があると思います。

環の第一印象は「太い」です。実際吹いてみると低音が豊かで鳴らしやすい。

なぜこの太さにしたんでしょう。たとえば子どもでも持ちやすいように穴の間隔を狭めるためとかなんでしょうか。もし低音重視のためだったとしたら、既存のプラスチック篠笛が低音を苦手としているのを意識したのかもしれません。

だから高音は慣れないと比較的響きにくいというほどでもないかもしれないけれど、コントロールが難しいというか吹きすぎてしまいがちというか、私は慣らしが必要でした。

音程は非常によくドレミに調律されています。そこにはこだわっているんじゃないかと思います。私は普通に吹くと少し低めに出るので環も順当に少し低めに出ます。

手に持った感じと吹いた感じがやや硬い気はします。生まれて初めて持った篠笛が環だったらどんなイメージになるんだろうかなと思ってしまいます。

その堅い印象のためか、吹きながら自分でもきれいだなと思える音を出すのが難しいです。というのも竹の笛だった自画自賛してしまうことがあるのです。だから初心者の人で環だけでっていうのはどうなんだろうとちょっと思ってしまいます。

竹の笛だったら多少の荒は素材が吸収してくれるような気がするのですが、環はその点ではプラスチック篠笛寄りという感じです。

八本調子で樹脂製といえば私はアウロスの秀山が好きです。秀山は税込みで2千円しません。

4千円の環とどっちがおすすめと言われたら、ちょっと難しいです。倍の価値があるかというと即答できない。というかそれくらい秀山が2千円で買えることがすごいのかもしれませんが。

だけど環がたくさん売れて若者にも篠笛が広まったら絶対面白いと思うので環に1票。

環の六本調子はないのか


きっと多くの人が八本調子じゃない環が欲しいと強く願っていると思います。

どうなのかなと思って最初のクラウドファンディングサイトを見ていたら

>プロジェクトが成功した場合は、六本調子の製作にも取り組んでいこうと思っています。

って書いてあるので期待できますね。

太鼓センター FURYU8 入手&レビュー

太鼓センターのFURYUという篠笛があります。篠笛としては安価なもので5,000円程度で購入できます。

これがいいものなのか悪いものなのかいまいちよくわかりませんでした。もちろん良いレビューもたくさんありますが、そのほとんどは「音が出た」とか「これから音出せるようにがんばります」というものばかり。ある程度吹ける人のレビューがほとんど見当たりません。

私は音は難なく出せますし、職人の作った本格的な篠笛をよく吹いています。また安価な篠笛たちも好きでかつてはスズキの銀鈴も持ってましたし、入手可能なプラスチック製の篠笛をほとんど購入して所有しています。

そんな私もFURYUを入手できたのでここでレビューしてみたいです。

先に一言でまとめると、音は出しやすいし音程もいいけどただそれだけだなあ、という感想です。

◆見た目と質感


手に入れたのは八本調子のものです。竹製であるのが大きな利点ですが、表面はつるつるテカテカしていてあまり竹らしくない印象。巻きも黒いビニールなので藤巻きのような楽しさはありません。

◆音だし


音は出しやすい方だと思います。出しにくいということはありません。

◆あなと押さえやすさ


ドレミの笛なので穴は等間隔でなく大きさもまちまちです。とくにFURYUはミファの穴が近いため慣れないと戸惑うのと、これに慣れると他の笛が吹きにくくなるかもしれません。八本調子は短いのでとくにそう感じます。
モダンなドレミの篠笛はみなミファが近いのですがFURYUは特に極端だと思います。

◆音程


意外に良いです。西洋音階のドレミの音が出せます。

スズキの銀鈴という笛はここが弱点で、とてもチューナーで調律した感じがしませんでした。恐らく1本1本の太さを無視して基準の笛に近い場所に開けてるだけだったと推測します。

FURYUはちゃんとしてるので、音源に合わせて吹いても「吹く人が確かなら」音痴になることはないです。

◆まとめ


わるい笛ではないけど音程と音のだしやすさ以外に特筆すべきところがない笛だなあと思ってしまいます。

音色・見た目・愛着のことを考えると、初心者で始めて篠笛を買うというような場合なら最初から日本の職人が作った笛をおすすめしたいです。

一般的に八本調子の笛は六本七本の笛より短いため篠竹も供給されやすいからなのか、ハ長調だから需要が高いためなのか、値段は安めです。

つまりFURYUとの価格差が1番小さいです。なので最初から日本の職人が製作した1万円程度の笛を購入したほうがいいのになあ、と個人的には思います。

ただ八本調子はあまりつかわないけれど持っていると便利なので、調子を揃えるために欲しいというような「隙間埋め」場合はおすすめだったりします。