プラスチック製篠笛の種類について

日本古来の笛である篠笛にもプラスチック製のものがいくつかある。それぞれ特徴があるのでまとめてみる。

リコーダーのアウロス

私が最初に楽器屋で購入した篠笛がアウロスだった。リコーダーで有名なトヤマ楽器製造株式会社が作っている。七本調子と八本調子があり、布製の袋に入った状態で売られている。

あまり好きではないという人もいるようで、たとえば穴が直角に切られているとか、唄口が大きいという特徴があり、篠笛としては好みが分かれるところかもしれない。

しかし個人的には好きな笛で、プラの継ぎ目も目立たないなど加工が丁寧で楽器としてのきれいさがあり、大きな音が出るのも自分好み。

調律もしっかりしていて素直な音色がでるため「和楽器の篠笛らしくない」という意見もわからなくもないのだけど、童謡やポップスを吹くときはその方がいいんじゃないかと思う。

公式サイトはトヤマ楽器製造株式会社



ZEN-ON 全音

こちらも有名な楽器メーカーの全音が作っているプラスチック篠笛。こちらは七本調子しか存在しない。つまりB管のみ。ソースは失念したがメーカーの人が「一番バランスがいい篠笛は7本調子だから」という理由で八本調子(C)は作ってないらしい。六本調子こそ一番いいという話は聞いたことあるけれど、全音的には七本らしい。

アウロスよりいい!という意見もあるが、個人的にはあまり好きになれない。理由はプラスチックの加工があまりきれいでなく、合わせの部分にバリが残っていたり明らかにあとから削った跡があったりする。

音程的にはがちがちの西洋音階ではなく民謡笛に近い「唄物」というイメージ。なので3の音が低く4の音が高い。穴の抑えやすさを優先させたためと思われる。同じ理由で右小指がつらくないような配置になっているので1の音がちょっと合わない。

音色を重視する人には評価が高いのかもしれないが、音程や見た目の理由であまり出番がない。

あと袋がついてこないので別に用意する必要がある。


公式サイトはhttp://www.zen-on.co.jp/music/です。



鈴木 SUZUKI 童子

鈴木楽器もプラスチック篠笛を作っている。こちらは六本七本八本調子と3種類もあるので、六本調子が必要だったらこれにするしかない。

アウロスほどきれいじゃないけど全音ほど雑ではないというくらいの見た目。専用の袋が付属してくるんだけどこれが結構好き。

穴は抑えやすさと音程のバランスがいいかんじ。音量が小さめなので練習向きと聞いたことがあるけれど、六本調子を使っている感じでは音量が足りないということはないと思う。

もともとアウロスと同じく七本八本があって、六本調子は最近になって発売されたものなので六本は特に最新の思想や技術が取り入れられている気がする。

公式サイトは http://www.suzuki-music.co.jp/



有限会社日音

教材用プラスチック篠笛という名前の七本調子のものがサイトで確認できる。布製の袋はどうやらついてこないよう。前にただいたコメントによると「篠竹の篠笛をやっている仲間の中でも日音は評判がいいですが、楽器店では出ていないみたいで知らない人が多いようです」とのこと。

私もこの笛は持っていないしネットでも名前を見かけることがない。

公式サイトは有限会社日音 -笛 鼓-

立平新素材篠笛 環(たまき)

厳密にはプラスチック製篠笛ではないのかもしれない新素材篠笛。評判はいいのだけど八本調子しかないので今のところ入手してない。価格も5000円くらいなのでプラ笛の仲間と考えていいと思う。

…ついに環を買いましたので後程レビューします

篠笛製作・販売「立平」 http://rippei.com/

ドレミ四本篠笛

なぜか持っている某神道系宗教で使われている練習用のプラスチック篠笛。ネット販売はされていないらしい。

色は真っ黒で見た目は悪くない。音程は正真正銘のドレミなのでポップスなども吹ける。

3Dプリンターで篠笛

(多分世界初!)3Dプリンターで篠笛を作ってみた:モデル製作〜到着編 | simasima.info http://simasima.info/archives/3024


この記事は別のブログにあったものを移転して大幅に加筆修正したものです。

篠笛~竹とプラスチックの違い メリットデメリット

篠笛という楽器は本来竹でできている。竹でできているから篠笛ともいえる。しかしプラスチック篠笛が売られているのも事実で、どちらを購入しようか迷われている方もいるだろう。

私の好みでは両方持っておくのが正解に近い。

■プラスチックのメリット


とにかくプラスチックは丈夫。竹のように自然に割れることもないし、かなり力を加えても破損しない。演奏中に落としてしまっても傷がつくくらいで特に困ることがない。真夏の車の中に放置していても変形する心配がない。

水にも強く雨の日でも安心だし、海辺で吹くこともできる。水洗いもできるのでたいていの汚れは落とすことができるから、竹のように口の周りの汚れを気にする心配もない。

使っていくうちに徐々に劣化していくことも考えにくい。うまく音が出なかったら、まず楽器のせいでなく自分のせいだとわかる。竹の篠笛だったらもしかしたら歌口が壊れているかもしれないと悩む可能性があるがプラスチックではほぼ無縁。

それでいてプラスチック篠笛は安い。1500円から2500円あれば1管買うことができる。竹の篠笛は最低1万円はみたほうがいいから比べるとずいぶん安価だ。逆にもっと高価で品質のいいプラスチック篠笛を欲しても存在しなかったりする(立平さんの新素材笛は5000円くらいする)。

いうまでもなく篠笛は1本では足りないので、メインが6本調子の人でも7本調子や8本調子も持っておくと何かと便利だ。そのためにプラスチックは強い味方になる。

■プラスチックのデメリット


本来の竹とプラスチックの笛は微妙に違うものなので変な癖がつく可能性が出てくる。初心者の場合でプラスチックしか知らないという場合は特に心配になる。篠笛奏者の佐藤和哉さんもプラスチックには否定的で、初心者にはお勧めしてないらしい。

意外に思われるかもしれないが、実はプラスチック篠笛の方が吹きにくくて音程も悪かったりする場合がある。一般的に「下手な竹製よりプラスチックの方が型がいいので吹きやすくて音程もいい」といわれるが、経験上プラスチックより吹きやすくて音程も鳴りもいい竹の篠笛はたくさんある、というか多数派に思う。だいたい2万円の笛を笛と比べると、プラスチック製は音が詰まってて音程も狂っているように感じてしまう。

楽器メーカーが本気を出せば「完璧なプラ管」が作れるのかもしれないが、今のところ一般に売られているプラ管はそうでないというのが現状だ。(立平さんの新素材篠笛"環"だったらプラスチックで吹きやすいかもしれないが未体験)

■ほかのデメリット

見た目を重視する和楽器でプラスチックはかなり劣勢になる。ほとんどの竹の篠笛は切り口や塗り・藤巻を見ているだけで楽しい物だけど、プラスチック管はバリや削り跡が残るなど見た目が考慮されてない。演奏上の気分として盛り上がらないだろう。

メーカーが本気を出せば見た目もよく音も出る楽器が作れるのかもしれないがまだない。

それと今市販されているプラスチック篠笛といえばドレミ(か唄物)だけで、古典調子だったりほかのマニアックな笛は手に入らないというデメリットもある。

■両方持ちたい


篠笛は竹製であるという前提で、プラス1500円強のプラスチックを持っておき、雨の日用や飲み会の余興用、または別のキーに対応させるために使い分けるのがいいと思う。

この記事は別のブログにあった内容を加筆修正したものです。

【悩み】篠笛の音程が低い( or 高い)

人によっては音程が高すぎるということでわざわざ特注の笛を使っていたりするのに、私の場合どうしても音程が低い。一応の解決法を見つけたのでこちら共有する。

基準に対して低い音しかでないと、音を出すエネルギーのほとんどが音程を上げることに奪われてしまう。吹いていて疲れるし、音はスッカスカでとても満足できるものではない。

一人で吹く場合は楽しいのに、音源や他の楽器と合わせる時は楽しくないということになってしまう。

音程が低い原因


ここでは笛そのものの調律が悪いというのは考えないことにする。 ここで言いたいのは a さんと b さんがいて、笛を交換しても低い人は低い、高い人は高いという場合。

◆ メリすぎている


メリカリという概念を笛吹なら知ってるだろう。簡単に言うと、歌口の角度を変えることで音程を変える技術。

しかしこれだけで問題が解決するなら誰も悩まない。限界までカリ吹きしているのに足りないならほかの方法を試す必要がある。仮にこれだけで音程が上がっても音色が悪くなるし、音程のバランスも崩れてしまうかもしれない。

◆笛の位置が低い


口に対して篠笛の歌口の位置が低いと音程は低くなる。 篠笛をいつもより少し上に当てるようにすると音程はかわる。

ただしこれにも限界がある。 上げすぎると音色も悪くなるし音も出にくくなる。

◆歌口をふさぎすぎている


歌口に自分の口を乗せることで自分の体も楽器の一部にしてしまうのが篠笛の魅力の一つではあるけれど、穴を塞ぐ面積が増えると音程は下がっていく。この割合を変えると慣れない人は音そのものを出しにくくなるという影響はあるけれど、音程を決める重要な要素なので試す価値はある。

◆息が弱い


息の勢いでも音程が変わる。ただ強すぎることがあっても弱すぎるケースってそんなに多いとは思えないし、息の勢いだけで全体的な音程を上げるのも無理があると思うのでここは参考までに。

◆楽器が冷えている


篠笛本体があったまるまで音程が低くなる。だから温まっている人と冷えてる人が一緒に吹こうとすると音程が合わないことがある。逆に言うと楽器が温まっている時は音程が上ずり過ぎないように注意する必要がある。

◆発音の場所が左より


とここまでの情報は本を読んだり Web を見たりしてるだけでなんとなく知っていた。それでも私の場合は音程が低かった。 人の体質によって音程は変わるもんなんだな、これは仕方ないかなと思っていた。 ところが最近もう一つの要素を発見した。

篠笛は管の長さが長くなるほど音程が低くなり、長さが短くなるほど音程が高くなる。この現象が一本の笛でも起こることが分かった。

図で説明すると分かりやすい。篠笛の歌口は正円ではなく横長の楕円になってることが多い。その幅の中でどこで発音するかによって管が長くなったり短くなったりする。

つまり発音の場所を右寄りにすれば音程は全体的に高くなる。

どうするかと言うと、歌口に対して自分の口をやや左側に当て、 菅尻を前に出して息のビームが斜めに横断するようなイメージです吹く。

これらの方法全部試したら音程がかなり上がるだろう。逆のことをすれば音程は下がる。

◆篠笛に近すぎる

これも最近発見したことで、笛に対して自分の顔が近すぎると音程が下がるようだ。歌口を「ふさぐかふさがないか」に似ているけど本人の感覚としてはちょっと違う。

笛をできるだけ高い位置に当てて、なるべく限界までカリ吹きしているときでさえ、篠笛から少し離れる気持ちで吹くと音程がさらにあがる。

こうすると音が悪くなりそうだけど、確かに最初はかなり違和感がある。しかし音程を合わせるためだけに力んでいた人なら、楽に合わせられた方が音色の改善もしやすいだろう。

この件には数年後の追記があるのでラベルから飛んで探して欲しい。