■篠笛の楽譜の種類:様々な表記方法が存在する!
篠笛の楽譜にはいくつかの種類があります。
穴のオンオフを直接記述したもの: 穴の位置と開け閉めを直接記載した、直感的な楽譜です。押さえるべき穴は黒い丸で、押さえない穴は白い丸で表現されています。穴を半分押さえるという表現も可能です。どの穴を押さえるべきか一目でわかるため、初心者でもすぐに演奏に取り掛かれます。
数字譜: 穴の開け閉めを一~七の漢数字、1~8のアラビア数字で示した楽譜です。
五線譜: 西洋音楽と同様の五線譜です。音符の下に数字譜と同じ数字を付けることもできます。
(※ここにそれぞれの楽譜の画像)
■楽譜が必要?不要? 意見が分かれる理由
世の中には「篠笛は楽譜なしで良い!」という考え方と、「楽譜は必須だ」という考え方があります。
楽譜はいらない派: 口承によって受け継がれてきた伝統芸能では、楽譜を使わずに演奏されることが一般的です。楽譜に頼らず、耳で聴いて真似ることで、微妙な表現を伝えることができ、音の揺らぎやニュアンスまで再現できます。
楽譜が必要派: 一方で、楽譜があれば正確な音程やリズムを再現でき、1曲暗譜する時間で数曲覚えることも可能なので様々な曲に挑戦してレパートリーを増やせるので演奏の幅が広がると考える人もいます。
■結論:所属団体の方針に従いましょう!
まず最初に言っておきたいのは、篠笛の楽譜の有無は、基本的には所属する会や団体の方針に従いましょう。それぞれの流派や団体によって考え方が異なるため、尊重することが大切です。
■個人的な見解:趣味でポップスを吹くなら楽譜がおすすめ!
ただし、個人的な意見としては、趣味でドレミ調律の笛を使ってポップスなどを演奏したいのであれば、楽譜は必要だと考えています。なぜなら、楽譜は、人間の記憶力を補助してくれる最適なツールだからです。楽譜があれば、暗譜していない曲でも演奏できますし、完全に覚えなくても原曲に忠実な演奏が可能です。暗譜する必要がないので同じ時間でたくさんの曲に挑戦でき、できなかったことができるようになるスピードを何倍も高速にしてくれます。
■楽譜なし派への反論:西洋音楽との文化の違いと篠笛の奏法
「篠笛による音楽は西洋音楽とは異なり、五線譜では表現できない要素がある」という意見もよく耳にします。確かに、一般的に五線譜とともに発展した西洋音楽では、正確な音程とリズムを重視する傾向があり、日本の民謡のような音のゆらぎや節回しといった要素は重要視されません。クラシック音楽を聴けば、その違いがすぐに理解できるでしょう。よほど細かい取り決めをしない限り五線譜で民謡のような微妙な表現は再現できません。
また、篠笛には装飾音のバリエーションや、音を区切る指使いなど、五線譜では表現しきれない奏法がたくさんあります。五の音は左中指で打つけれど、四の音は右手人差し指で打つという決まりがあったとして、数字譜や五線譜で表すことはなかなか難しいです。
しかし、それでも楽譜があった方が記憶力以上の演奏ができるというメリットは大きいと考えます。記憶力の良い人が暗譜している場合でも、原曲と違ってしまっているケースも少なくありません。その違いを気にしない聞き手もいれば、気にする聞き手もいます。楽譜を見ながらなら、そのような間違いを最小限に抑えられ、演奏に説得力が生まれると私は信じています。
■楽譜が奏する役割:青森ねぶた祭りの事例
青森ねぶた祭りの公式ウェブサイト(https://nebuta.jp/)では、笛の楽譜が公開されています。かつて口承によって伝えられていたねぶたの笛は、町内ごとに演奏がバラバラな問題があったそうです。昭和30年ごろに正調囃子が統一され、今ではインターネットで楽譜が公開されるようになりました。
楽譜が公開されているおかげで笛の間口が広がり、各町内での演奏が統一され共同演奏もしやすくなったと考えられます。
■まとめ:あなたにとって最適な選択を!
篠笛と楽譜の関係は、一概に「これが正しい」というものではありません。もしあなたがポップスを趣味で吹きたいのであれば、楽譜を使うことをおすすめします。一方、伝統芸能に携わりたいのであれば、楽譜を使わずに耳で真似ることを目指しましょう。