まさかそんなことはない
少し前にYouTubeの篠笛関係動画を見ていたら「練習の時にリバーブをかけたらまったく練習になりませんから」というようなセリフがあってびっくりしました。理由は特に説明されていませんでしたが。
私はそんなことはないと思います。
リバーブとは残響音・反響音のエフェクト
音に残響音や反響音を加えるエフェクトのことをリバーブと言います。まるで大きなホールにいるような演出ができますし、ルーム系と言われる小さな部屋を再現したものもあり様々です。他にはプレートと呼ばれる昔リバーブを使うために金属プレートを用いたエフェクターがあって、そういうのを再現したエフェクターもあります。
リバーブはエコーともいいますね。カラオケの時には必ず付いているでしょう。
普通に使えるリバーブエフェクトは偽物の残響音ではある
本物のホールの残響音というのはとても複雑なものなので機械で簡単に再現できるものではありません。いまある最高のリバーブを使いたかったらスーパーコンピューターが数台必要だという話も聞いたことがあります。
そういう意味ではその辺の普通のパソコンのCPUで動く(しかも安かったりフリーで使える)リバーブというのは簡易的なリバーブであるといえるでしょう。そういうリバーブはまだいい方で、カラオケアプリに付いているおまけのようなものはもっともっと簡易的で、本物のホールの残響音とはほど遠かったりします。
他の楽器でも練習の時はエフェクト不要論がある
リバーブではないですが、エレキギターの世界でも練習の時はエフェクトをかけず本番で使った方がいいという一派は存在します。エフェクトをかけないほうが地味な音なので粗が目立ちやすく練習になるということでしょう。
ただ本番と同じ音じゃないと練習にならない、とくにエレキギターで重要な“ミュート”の感覚がエフェクトをかけるときとかけないときで変わってしまうので、本番で急にエフェクトをかけたらうまくいかないという考え方をする人もたくさんいます。
篠笛も同じで本番と同じ環境の方がいい
例えば本番が音楽ホールだっとして、同じホールで10日間練習できるという幸せな人がいたとしたら「まったく練習にならない」と言われるでしょうか?
現実には難しいのでエフェクターを使って本番の環境に近づけるのはありだと思います。
個人的経験からも本番に近づける大切さを主張したい
まえにカラオケ店の密室で練習することにハマっていたことがあります。誰にも聞かれないから自由ですし、防音・遮音のためなのか反射が強めで自分の音がよく聞こえました。
ところがいざ外での演奏(マイクはあるけど返しはなしのような環境)を始めた時、練習の時と違いすぎで上手くいきませんでした。外だと壁からの反射が全くと言っていいほどなく、音が抜けていくからです。
このことから外で吹くなら練習も外でする、ホールで吹くなら練習もリバーブをかけて吹いたり録音もする、ということを心掛けるようになりました。
笛とリバーブはとても合う組み合わせ
たしかにリバーブをかけると心地よく聞こえるので粗が見えない=練習になってないのでは、という気持ちはわからなくはないです。リバーブをかけると独特の音の太さが増す気がしてダイナミクスも変わるので練習になってないのではと疑問に思っただけかもしれません。
フルートの人もレコーディングの際に試しにエフェクトを切ってみたらあまりの素朴な音にがっかりしたという話もあります。なぜか笛の音は残響音があってこそいいとになりますし、ないと寂しいのです。
リバーブのないレコーディングはあまりない
私はDTMをやっている人だからわかりますが、一見するとエフェクトなしに聞こえてもレコーディングでリバーブ0というのはなかなかないことです。80年代ポップスの残響感に比べるとリバーブかかっていないような今風の音楽たくさんありますが、実際はかけてないわけではないことが多いです。かけなかったら耳に張り付くような変な音になります。
というか部屋で吹いてたら残響音なしなんてありまえせん。リバーブがなければ笛の音じゃないとも言えます。
篠笛の練習の際にリバーブ・エコーをかけたらまったく練習にならないということはないと思います。