篠笛~竹とプラスチックの違い メリットデメリット

篠笛という楽器は本来竹でできています。竹で作られているからこそ篠笛ともいえます。

しかしプラスチック篠笛が存在するのも事実で、どちらを購入しようか迷われている方も多いでしょう。

結論から言うと私は両方持っておく、つまりプラスチック製も購入するのが理想的だと思います。

■プラスチックのメリット

とにかくプラスチックは丈夫です。竹のように環境の変化などで自然に割れることもないし、かなり力を加えても破損しません。演奏中に落としてしまっても傷がつくくらいで特に困ることがありませんし、真夏の車の中に放置していても変形する心配がないです。

水にも強く雨の日でも安心だし、潮風の当たる海辺で吹くこともできます。汚れたら水洗いもできるので、竹笛より衛生的です。

使っていくうちに徐々に劣化していくことも考えにくいですし、もしうまく音が出なかったとしても、楽器のせいという可能性は排除できます。竹の篠笛だったらもしかしたら笛の調子が悪いのかもしれないと悩む場面でも、プラスチックではそういうこととは無縁です。

それでいてプラスチック篠笛は価格が安いです。1500円から2500円あれば1管買うことができます。竹の篠笛は最低1万円はすることから比べると、ずいぶん安価です。

フルートのようなキーがなく移調が苦手な篠笛は1管では足りないので、いろいろな調子の笛が必要ですが、あまり使わない調子だったらプラスチック製の篠笛で揃えておくこともできます。

■プラスチックのデメリット

素材の違いから、プラスチック製だけに慣れてしまうといざ自然の竹を使った笛を吹くときにうまくいかない可能性あるという意見もあります。篠笛奏者の間では、竹製の篠笛を知っている人がプラスチック製を吹くのはいいけど、プラスチック製しか吹いたことがない人の音は和楽器らしさが足りなく感じてしまう、と言われています。初心者の方でプラスチック製しか知らないという場合はやや心配です。

篠笛奏者の佐藤和哉さんもプラスチック篠笛には否定的で、プラスチック製の方が音が出しにくいので初心者が最初に選んでしまうと挫折の原因になると著書やセミナーで主張されていることがネット情報でも確認できます。

【参考】篠笛 上達レッスン 技術と表現力を磨く50のポイント (コツがわかる本!) 単行本(ソフトカバー) – 2019/11/30
https://www.amazon.co.jp/dp/4780422671


多くのプラスチック製の篠笛は一般的には大量生産で同じ形で作られているから吹きやすくて鳴りやすくて音程も良いと考えられますが、私の経験的にそれでも職人の作った竹の篠笛のほうが簡単に鳴らせて吹きやすいというケースがあります。これも私自身の経験ですが、プラスチック製に持ち変えるときに音が詰まっていて吹きにくく感じることもあります。

■ほかのデメリット

見た目を重視する人にとって、プラスチック製の篠笛はプラスチック素材が丸見えなので物足りないことが多いでしょう。SUZUKIの童子は吹くにはとてもいい笛だと思いますが、見た目という点ではバリがあり削り跡があり質感や色もプラスチックそのものです。演奏性は高く評価できますが、見た目に関しては改善の余地があると感じます。

職人の制作した竹の笛は穴の切り口や漆塗り、籐巻きの仕上がりの綺麗さを眺めるだけでも楽しく、演奏の気分を上げてくれます。

立平さんの環みたいに黒一色だったら遠くから見れば見る人や角度によって総漆のように見えるかもしれないですが(見えないときもあります)、トヤマ楽器製造やSUZUKIの笛はあきらかにそうではありません。

プラスチック製でも見た目にこだわった笛が作られればいいのですが期待薄でしょう。

あとは今市販されているプラスチック篠笛の種類といえば2024年現在私が把握しているのはドレミ(か唄物)の8、7、6、4、3本調子くらいです。古典調子だったりほかの調子の笛は手に入らないというデメリットもあります。

■両方持ちたい

竹製の篠笛を基本としつつ、プラスチック製も活用することで、それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、演奏環境や目的に応じて使い分けることが望ましいでしょう。

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